SHOOTING

比較明合成とタイムラプスの撮り方・仕上げ方

星の軌跡は、長時間露光一枚よりも短い露出を連続して撮ると失敗を切り分けやすくなります。その連番は比較明合成にもタイムラプスにも使えますが、撮影時の間隔と仕上げ方で結果が大きく変わります。

撮影設定を先に固定する

露出時間と撮影間隔の間に余白を作ると、書き込み待ちや振動が次のフレームへ影響しにくくなります。マニュアル露出、マニュアルフォーカス、固定ホワイトバランスにして、フレームごとの自動補正を止めます。絞りやISOの自動変更は、星の明るさだけでなく空全体の明るさを揺らし、後処理で消しにくいちらつきになります。

三脚は脚を伸ばし切らず、ストラップが風で揺れないようにします。長時間撮影では予備バッテリー、結露防止ヒーター、レンズヒーターも用意します。前景を含む構図なら、撮影開始後に三脚やピントリングへ触れないことが重要です。露出が長いほど、1枚の失敗が軌跡の隙間や動画の揺れとして目立ちます。

秒数とフレーム数の関係

タイムラプスの出力フレーム数は概ね 完成秒数 × fps です。star-rawは素材が少ないと同じ画像を保持し、素材が多いと出力へ収まるように間引きます。30fpsで10秒なら300フレーム、24fpsで10秒なら240フレームです。素材を1枚ずつ見せたいのか、完成尺を先に決めて素材を圧縮するのかで、長さの設定を変えます。

完成尺24fps30fps60fps
5秒120枚150枚300枚
10秒240枚300枚600枚
20秒480枚600枚1200枚

計算例:15秒露出、間隔2秒で1時間

「撮影間隔」を、露出の開始から次の露出の開始までの時間と考えます。15秒露出のあとに2秒の空きがあるなら、1コマの周期は17秒です。1時間は3600秒なので、単純な目安は 3600 ÷ 17 = 211.7。実際に1時間内へ収まるのは約211枚です。最初の露出を0秒に始めるなら、211枚目の開始は3570秒、露出終了は3585秒となり、残りの時間は次の開始を待つ余白になります。

この211枚を30fpsで1枚ずつ出すと、動画の長さは 211 ÷ 30 = 7.03秒、つまり約7.0秒です。star-rawで30fpsを選び、全素材を短く見せるなら、少なくともこの計算を基準に完成尺を決めます。10秒にしたい場合は保持によって一部の素材が長く表示されるか、素材を増やす必要があります。撮影間隔を17秒より短くできない場合、設定を変えても実時間の動きが速くなるわけではありません。

星の軌跡は比較明でつなぐ

「比較明」は各画素で最も明るい値を残すため、星の移動が線として積み上がります。前景が毎回同じなら、別に撮った前景を基準にする方法もあります。星を含む空だけを比較明にし、前景は別の1枚にすると、長時間で前景が白くなる問題を避けやすくなります。

比較明の途切れ(隙間)の原因と対策

軌跡の隙間は、フレーム間に星が移動したのに記録がない時間があることで生じます。露出15秒、周期17秒の例では、2秒間はシャッターが開いていません。星はその間も動くので、2秒分の線は比較明で作れません。対策は、撮影間隔を短くする、カードへの書き込みが間に合うシャッター速度と画像サイズを選ぶ、長秒時ノイズ低減など撮影後の待ち時間が増える機能を確認する、バッテリーやカードの速度を安定させる、です。

すでに隙間のある素材に対して、star-rawの比較明は欠けた露光を推測して埋める機能ではありません。クロスフェードも星の軌跡を連続線へ修復するものではなく、動画のフレーム間を混ぜる処理です。撮影側で隙間を減らすことが最も確実です。

フリッカーとデフリッカーの仕組み

フリッカーは、絞りの機械的なばらつき、露出の自動化、薄雲、光害の変化などで、隣のフレームの明るさが違って見える現象です。マニュアル設定で撮影したうえで、star-rawのデフリッカーを使うと、各フレームの代表的な明るさを比較し、移動平均へ近づける露光量(EV)の補正を計算します。色や構図を一致させる機能ではないため、雲の動きや光源の変化を完全に一定にはしません。

窓サイズは、何枚の近傍フレームを平均の基準にするかを表します。3〜5は短い変化を残しやすく、7は迷ったときの初期値、9〜15はゆっくりした明るさの揺れをならしやすい一方、オーロラの急な動きや雲の明滅まで弱める可能性があります。star-rawの窓サイズは3〜15の奇数で選びます。短い動画や変化の速い被写体では小さく、長い薄明やゆっくりした光害変化では大きくし、補正前後を短い範囲で書き出して比較します。強さを100%から下げれば、元の変化を残しながら揺れを部分的に抑えられます。

保持とクロスフェードの選び方

コマ送り(保持)は、ある素材を次の素材までそのまま表示します。星の位置、雲の輪郭、人物の姿を一枚ごとの記録として見せたいときに向きます。例えば、15秒露出で撮った211枚を7秒の動画へするなら、素材を順に保持すると、撮影した夜の流れがはっきり出ます。動きが速く見えても、それは撮影間隔を圧縮した結果であり、画像を混ぜていないことが原因のゴーストは発生しません。

クロスフェードは隣り合う画像をリニア空間で混ぜます。固定した山とゆっくりした明るさの変化には滑らかさが出ますが、星、雲、オーロラが移動すると二重像になります。雲が連続して流れる素材ならクロスフェードを試し、オーロラの形が変わる素材や人が歩く星景ポートレートでは保持から始めます。星の軌跡を動画化する場合も、線を二重にしたくなければ保持が扱いやすいです。

4KとフルHDの処理時間・ファイルサイズ

4K(3840×2160)はフルHD(1920×1080)の4倍の画素を処理します。そのため、同じ素材数、fps、完成尺でも、4Kはデコード後の縮小、レンダリング、エンコードにより時間がかかりやすくなります。ただし実際の時間はCPU、GPU、メモリ、ブラウザ、RAWの展開速度で大きく変わるので、ここで固定の分数を約束できません。star-rawの設定欄に表示される処理時間の目安を端末ごとの見積もりとして使い、長い素材はまずフルHDで短いテストを作ります。

参考までに、Apple Silicon搭載のMacとChromium系ブラウザで、α7C II(33MP)のARW 18枚から動画を作った実測では、フルHD・30fps・3秒(90フレーム、クロスフェード)が約14秒、4K・24fps・2秒(48フレーム、デフリッカーあり)が約57秒でした。4Kが大きく遅いのは、フルHDではRAWを半分のサイズで展開しても足りる一方、4Kでは元の解像度で展開する必要があるためです。端末やブラウザが変われば結果も変わるので、あくまで一例として扱ってください。

ファイルサイズもビットレートと完成尺の目安です。star-rawの見積もりでは30fpsの場合、フルHDは約16Mbpsを基準にするため、10秒で約20MB、4Kは約45Mbpsを基準にするため、10秒で約56MBになります。これはエンコード結果を保証する値ではなく、映像の内容(星や雲の細かさ)、コーデックの実装、端数、ブラウザの出力によって変わる推定値です。60fpsでは基準ビットレートが上がるため、同じ10秒でも容量が増えます。保存先の空き容量が少ない場合やメモリ上限に近い場合は、フルHD、短い尺、低いfpsを順に試してください。

star-rawで仕上げる手順

  1. タイムラプス画面で連番を選び、寸法が違うフレームや読み込み警告がないか確認する。
  2. キー画像を選び、RAW現像のコツを参考に色温度、露光量、トーンカーブを調整する。
  3. 出力設定で4K/フルHD、フレームレート、長さ、保持/クロスフェードを決める。
  4. 16:9の縦位置をプレビューで合わせ、必要ならデフリッカーの強さと窓サイズを試す。
  5. 処理時間とサイズの目安を確認して「タイムラプスを作成」を押す。
  6. 完成後は結果欄の動画を確認し、保存先へMP4をダウンロードする。