家系図のための戸籍の集め方
家系図づくりは、自分の戸籍から始めて、親・祖父母・曽祖父母の古い戸籍を一つずつたどっていく作業です。この記事では、家系図に使う戸籍の種類、取れる人の範囲、窓口と郵送での頼み方、手数料、そしてどこまでさかのぼれるかを説明します。
2026年11月2日公開
家系図に使う3種類の戸籍
| 名前 | どんな戸籍か |
|---|---|
| 戸籍謄本 (戸籍全部事項証明書) | 今使われている戸籍の写し。コンピュータ化された戸籍では「全部事項証明書」という名前で出てきます。 |
| 除籍謄本 (除籍全部事項証明書) | 載っていた人が結婚・死亡・転籍などで全員いなくなり、閉じられた戸籍の写し。 |
| 改製原戸籍 (かいせいげんこせき/はらこせき) | 法律の改正で戸籍の様式が新しくなったとき、書き換える前の古い戸籍の写し。昭和の改製や、平成のコンピュータ化の前のものなどがあります。 |
家系図には、一部の人だけを写した「抄本(個人事項証明書)」ではなく、全員が載った謄本(全部事項証明書)を頼みます。兄弟姉妹や、その家にいたほかの人も分かるからです。
取れる戸籍の範囲
自分で請求できるのは、次の人が載っている戸籍です。
- 自分
- 配偶者
- 父母・祖父母・曽祖父母など、自分より上の世代の直系(直系尊属)
- 子・孫など、自分より下の世代の直系(直系卑属)
兄弟姉妹やおじ・おば、いとこなど、直系でない親族の戸籍は、相続の手続きなど正当な理由がある場合に限られ、「家系図を作りたい」という理由だけでは取れないのが普通です。
ただし、祖父母や曽祖父母の古い戸籍には、その兄弟姉妹も一緒に載っています。明治・大正の戸籍は「家」ごとに作られていて、戸主の兄弟やその妻子まで書かれていることが多いので、直系の戸籍だけでも、おじ・おばや大おじ・大おばの名前まで分かることがよくあります。
広域交付で、近くの窓口からまとめて請求する
2024年3月1日から、本籍地がどこにあっても、全国の市区町村の窓口で戸籍を請求できるようになりました。これを「広域交付」といいます。以前は本籍地の役所ごとに請求する必要がありましたが、今は一か所の窓口で、複数の本籍地の戸籍をまとめて頼めます。
広域交付の条件
- 本人が窓口へ行くこと。郵送や、委任状を持った代理人では頼めません。
- 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)を持っていくこと。
- 取れるのは、本人・配偶者・直系の戸籍だけです。兄弟姉妹の戸籍は頼めません。
- 謄本(全部事項証明書)が対象です。抄本(個人事項証明書)や、一部の事項だけの証明書は頼めません。
- コンピュータ化されていない一部の戸籍など、広域交付では出せないものもあります。
窓口での頼み方
家系図のために古い戸籍をまとめて取りたいときは、窓口で次のように伝えると話が早く進みます。
- 「父の出生から死亡までの戸籍を、除籍と改製原戸籍も含めて全部ください」
- 「祖父の、取れるいちばん古い戸籍までさかのぼってください」
古い戸籍が多いと、ほかの役所への照会に時間がかかり、その日のうちには受け取れず、後日になることがあります。窓口が混む時期もあるので、事前に電話で確かめておくと安心です。
本籍地へ郵送で請求する
窓口へ行けないときは、本籍地の市区町村へ郵送で請求できます。必要なものは市区町村のウェブサイトに書かれていますが、おおむね次のとおりです。
- 請求書(市区町村のウェブサイトから印刷できることが多い)。「家系図作成のため、取れるものすべて」などと書きます
- 手数料分の定額小為替(郵便局で買えます)
- 本人確認書類のコピー
- 請求する人と、戸籍の人との関係が分かる戸籍(自分の戸籍に載っていない祖父母などのとき)
- 切手を貼った返信用封筒
届いた戸籍に、さらに前の本籍地が書かれていれば、そこへまた請求します。本籍地が移っている家は何往復かになるので、時間に余裕を見ておきましょう。
なお、コンビニでの交付(マイナンバーカードを使う)は、多くの市区町村で今の戸籍だけが対象で、除籍謄本や改製原戸籍は取れません。
手数料
| 種類 | 1通の手数料 |
|---|---|
| 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 450円 |
| 除籍謄本(除籍全部事項証明書) | 750円 |
| 改製原戸籍謄本 | 750円 |
郵送のときは、これに切手代と定額小為替の発行手数料がかかります。何通になるかはその家の転籍や結婚の回数によるので、少し多めの小為替を入れ、余りは返してもらうよう書き添えておく方法もあります(扱いは市区町村によって違います)。
古い戸籍のたどり方
戸籍には、その戸籍が「いつ・どこから」作られたかと、一人ひとりが「どこから入ってきたか」が書かれています。ここを手がかりに、一つ前の戸籍へさかのぼります。
- まず自分の戸籍を取ります。
- 戸籍の最初のほう(戸籍事項)に、「転籍」「改製」「婚姻により新戸籍編製」などと、その前の本籍や戸籍が書かれています。そこが一つ前の戸籍です。
- 親の欄に「〇〇の戸籍から入籍」と書かれていれば、その戸籍に親の生まれたときの記録があります。
- これを繰り返し、明治・大正の古い戸籍までたどります。古い戸籍では「戸主」を中心に家族全員が書かれ、前の戸主(父など)から家を継いだ「家督相続」の記録が、さらに前の戸籍への手がかりになります。
取り寄せた戸籍には、どの順でつながっているか分かるよう、番号やメモを付けて保管しておくと、あとで家系図を書くときに迷いません。
どこまでさかのぼれるか
戸籍の様式は、明治時代から何度か変わっています。
| 様式 | 特徴 |
|---|---|
| 明治5年式(壬申戸籍) | 最初の全国的な戸籍。差別につながる記載があるため、今は見ることも取ることもできません。 |
| 明治19年式・明治31年式 | 「家」ごとの戸籍で、戸主を中心に家族が書かれています。今取れるもののうち、もっとも古いのはこのあたりです。 |
| 大正4年式 | 明治31年式とほぼ同じ形の「家」ごとの戸籍。 |
| 昭和23年式 | 戦後の民法改正で「家」制度がなくなり、夫婦と子ごとの戸籍になりました。 |
| 平成6年式 | コンピュータ化された今の戸籍。横書きで、「全部事項証明書」として出てきます。 |
除籍や改製原戸籍の保存期間は、2010年(平成22年)に80年から150年に延びました。ただ、それより前に期間が過ぎて廃棄されたものは取れません。古い戸籍が廃棄されていると、役所から「廃棄済み」と知らせる書類(告知書)が出ることがあります。
運よく明治19年式の戸籍が残っていれば、江戸時代の後期に生まれた人まで分かることがあります。それより前を知りたいときは、菩提寺の過去帳や、地域の古文書などを探すことになります。